『おかえりモネ』に出演し、亮役を演じるKing&Princeの永瀬廉。『おかえりモネ』のキーパーソンとして、アイドルの域を超えた、繊細で情感ある凄みのある演技に、出勤前・中の全国の視聴者が釘付けになっています。永瀬廉の演技のどこがすごいのかをシーンを振り返りながら見ていきます。
目次
東日本大震災で大切な人をなくしたという難しい役どころ
亮は、本当の感情をさらけ出すと崩れてしまう
永瀬廉さん演じる及川亮は、東日本愛震災で母親を失いました。
残された父親(浅野忠信さん)は、震災で妻と漁師の証である船を失い、立ち直るきっかけを失っています。
母の死後、残された父の思いに寄り添い暮らし、支えるため、人よりも早く大人にならなければいけないと思い、漁師として独り立ちできるよう頑張ってきました。
一方、主人公・百音は、亮からすると幼馴染でなんでも話せる仲ではあるものの、直接震災を経験していないという事実を前に、互いに「本当の気持ちなんてわからない」という感情が横たわっています。
普段の亮は、海の男とは思えない紳士的で繊細な優しさを見せ、「大丈夫、大丈夫」と周囲にも自分にも言い聞かせる、抑制した青年です。
永瀬廉さんの、整った顔立ち、スマートないで立ち、少しクールなコメントは、亮の普段の姿とも言えます。
永瀬廉さんのスゴイところは、そうやって抑制したり無理したりしているところを、本当に亮を心配してくれる周囲にまで演じてしまう、危うさを演技で表現している点です。
そのままでも大丈夫だけど、何かの拍子で崩れさってしまう抑制された感情を表現する力に、アイドル超えの繊細で情感ある“演技俳優”として、大きく評価されています。
深すぎる闇の表現に「胸が張り裂けそう」
いつまでも立ち直れない父親は、酒びたりとなり、息子の亮が港近くの酒店に「親父に酒を売らないでくれ」と頼み込むシーンがありました。
かなり切迫した家庭事情と考えられ、周りの大人に助けを求められないのか?と思わず思ってしまった視聴者も多かったのではないでしょうか。
まわりに心配はかけられない、と考えてしまい、ひとりでしょい込む亮に、百音が「何か、困ってるなら…何もできないけど、メールとか、電話とか、聞くから」と寄り添おうとしたときの亮の返しが、本当に胸が張り裂けそうでした。

ごめん、そういうのは俺、やっぱ、いいわ。
一瞬本音を言おうとしたけれど、さっと心の奥深いところに思いをひっこめた一瞬の心の揺れを表現した演技に、視聴者からの反響と絶賛の嵐でした。
「りょーちん全部やめていいよ!」
ツイッターより
「胸が張り裂けそう」
「りょーちんの心が折れるのは当然だと思う」
「りょーちんばっかり…つらすぎる…」
さらに、すごいのはここからです。
本音を口にした後、泣き叫ぶでもなく、涙で顔をぐちゃぐちゃに濡らすでもなく、いつもの亮を取り戻します。
落ち着き、紳士的で、暗がりの中で微妙にほほ笑んでいるかのような表情を作るのです。
却って痛々しく、恐ろしく、他人が踏みいれない深いところ、もっといえば限界まで追い詰められた心情を、永瀬廉さんは表現しています。
「りょーちんの表情にめっちゃつかまれた。頭から離れないよ」
ツイッターより
「永瀬くんの演技力がすごすぎる」
「永瀬くんがりょーちんで本当によかった」
闇落ちか?主人公に気づきを与えられる重要な役柄
百音は、東京での気象予報士の経験を地元で活かしたいと、自分なりに考えて地元に帰ってきました。
百音は百音なりに、震災を直接体験していないことを苦悩しての決断ですが、一度地元を離れた出戻りに対し、そんな真意を地元が理解できるわけがなく、家族をはじめ、百音の帰郷に釈然としていない状況でした。
そんなふわっとした決意に対し、
永瀬廉演じる亮がグサッとしたセリフを放ちます。

なんで帰ってきたの?
きれいごとにしか聞こえないわ。
亮は、父親のこともあり、地元を離れるという選択肢はそもそもありません。
震災で家と母を失い、父親の心も壊れてしまうという過酷な状況のなか、耐えることを自分に課してなんとか穏やかに過ごしてきたにもかかわらず、幼馴染は、東京に行ったかと思えばよくわからない理由で地元に帰ってきたように思えたのかもしれません。
亮の貼り詰めた心が、震災後8年で危うくなってきたのかもしれません。
このときには、視聴者から一斉に「闇落ちした!!」と話題になりました。
アイドルの永瀬廉さんが、闇落ちキャラを演じるのが異例だからです。
このシーンは、物語全体を語るうえでも重要なシーンです。
永瀬廉さんは、本気で地元の現状に向き合う気がどれだけあるのかを問い、地元帰郷に退路を断つ覚悟はあるのかと、地元を代表して聞いているのです。
ついに本音を吐露
亮は、大切な人を失った自分の悲しみや、その影響をいやというほど知っています。
だから、自分が大切に思う人に同じ思いをさせない、そう決めて生きる青年です。
自分(亮・永瀬廉)のことを慕う未知(蒔田彩珠)の気持ちに気づきながらも、「大丈夫」と距離を保ち続けてきました。
大しけで亮が乗った漁船が嵐に巻き込まれ、皆が心配しするなか戻ってきた亮は、心から待っていた未知を前に、いつもの「大丈夫」で対応します。
そこへ「りょーちん笑わなくていいよ。大丈夫って言いながら本当はなんて思っていたの?」と百音に言われたときの亮のセリフは衝撃でした。

お前に何がわかる?そう思ってきたよ。ずっと。俺以外の全員に
いつも穏やかであることで、バランスを保ってきた亮が、はじめて自分の内面を吐き出しました。
ここまでのシーンでは、亮の無理していることを周囲もなんとなく気づいているけど、敢えて本人から言われない限りそっとしていたというものでした。
今回は、百音の問いに答えるカタチで、初めて亮の口から「お前に何がわかる?そう思ってきたよ、ずっと。俺以外の全員に」とはっきり言葉にしました。
自分は抑制して生きるから、幸せにはなっちゃいけないと、自分の運命を諦めたかのような表情。
この日までの穏やかさは、青年時に編み出した巧妙なフェイクであり、本音を吐露した瞬間、崩れ去ってしまうという亮の状態を、
永瀬廉さんが、瞳や口角を駆使して表情コントロールしてきていたのか、やっぱりそうか、と視聴者は思い知らされました。
このシーンに、全国の視聴者は釘付けになりました。
朝の出勤中に見て電車の中で泣いたという女性もいたそうです。
表情でここまで表現できるの凄すぎる
ツイッターより
写真で泣いてるのを見ただけで泣きそう
永瀬廉の演技もっと見たい、この約を脇じゃなく主役設定で。
怖くて踏み込めないのは、みーちゃんじゃなくてりょうーちんじゃん!
永瀬廉、360度パーフェクトアイドルながら”演技俳優”として飛躍へ

King&Princeとしての永瀬廉さんは、 360度パーフェクトなプロアイドルです。
ライブ中の“魅せ方”が非常に上手く、キレキレのダンスを披露しながらも、カメラモニターにアップになる時の表情には一瞬たりとも隙がありません。
さらに、個性的なメンバーが集まるKing & Princeでは、リーダーでないにもかかわらず、ライブ中のMCや6人揃って出演する番組などでトークを主に仕切ります。
全体の流れをのなかで、絶妙なタイミングでメンバーに話を振ったり、トークを整理するセンスが抜群にあります。
そして、演技。
『俺のスカート、どこ行った?』では、クラスのリーダー格だが家庭環境に問題を抱え、少し陰のある難しい役割を。
『弱虫ペダル』では、大人気作品の主役というプレッシャーに負けず、原作の世界観を大切にしながら、ロードレースの疾走感を真っすぐに演じています。
『おかえりモネ』の難しい役では、出演のたびに大きな反響を呼んでいます。
これからの永瀬廉さんが本当に楽しみです。