私大半数が定員割れニュースに対し、専門家見解と国民コメントまとめ

2021年度春の私立大学のうち、定員割れとなった大学の割合がほぼ半数であることが、日本私立学校振興・共済事業団の調査でわかりました。このニュースに対し、専門家見解に加え、国民の意見が多数寄せられています。これらをまとめてみました。

日本私立学校振興・共済事業団の調査

私大定員割れ
(読売新聞

調査・対象

日本私立学校振興・共済事業団は、毎年この時期に、大学入学者数の調査を実施し公表しています。

(調査)1999年度から毎年実施
(対象)募集停止などをのぞく私立大597校など

調査結果:入学定員充足率

(大学全体)99.8% 1999年度調査開始以来、100%を切るのは初。

(規模別)
 入学定員3000人以上     99.8%
 入学定員300人以上400人未満 95.2%

調査結果:定員割れ

定員割れ大学数 277校(全597校の46.4%)

18歳人口

2021年度 114万1140人
       (前年比2万6208人減(2.2%減))      

やはり、国民は「大学」に対して関心が高い

  日本私立学校振興・共済事業団の調査結果は、各メディアが「私大半数が定員割れ」「経営難のおそれ」「少子化の影響」など、大きく取り上げあげられました。
また、この調査結果をリリースしたヤフーニュースでは、リリースから3時間で2500を超えるコメントが寄せられ、日本人の関心の高さが伺えます。

専門家

学校経営・教育コンサルタント

学校経営・教育コンサルタント/株式会社学び 代表取締役社長 寺裏誠司氏によると、18歳人口が減少する一方、大学新設も進み、結果として定員規模が小さい地方の大学で定員割れが進み、大学の経営を圧迫しているとのことです。
人口減少のなか大学淘汰が進むため、スピード感をもって改革すべきとのことです。

日本の私立大学は、一部の大規模大学が寡占している特殊なマーケットだ。これまで18歳人口は、半減以下に減少する中、大学の新増設が加速。結果として定員規模が小さくポジションが低い地方の大学ほど定員割れが加速し経営を圧迫してきた。

そのため文科省は、都市部にある一部の大規模私大の定員超過を是正するとし、上位の大規模私大の不合格者が下位の大学に雪崩のように流れ、定員割れを補充してきた。
しかし、今年も大学進学率は増加したが、その効果も薄れるほどの大きな影響がコロナ禍によって現実化。

また、2020年の出生者数は約84万人、2021年は78万人程度と予測されており、18年後の国内の高校卒業者数は、人口推計を大幅に上回る減少が待ち構えている。
大学淘汰が免れない環境下で、これまでの既成観念を突破し、国内に留まらず「誰を対象に、どんな方法で、どんな価値を提供するか」スピード感をもって改革する必要がある。

Yahooニュースコメント
学校経営・教育コンサルタント/株式会社学び 代表取締役社長 寺裏誠司氏

大学ジャーナリスト

大学ジャーナリスト 石渡嶺司氏によると、 定員割れ=赤字=潰れる、というのは誤解で、 定員割れに陥った私立大学がすぐダメになるというわけではありません。むしろ、短大の定員割れが深刻だとのことです。

大学の会計は企業会計と異なります。
そのため定員割れになってもそう簡単に廃校にはなりません。
しかし、定員割れ=赤字=潰れる、という誤解が広くあり過去には週刊東洋経がこの誤解に基づく記事を出したほどでした。

大学を運営する学校法人は大学だけでなく小中高など他の学校を運営しているところが大半です。しかも、文部科学省の取り決めで財政については一定の水準を保つことが求められています。
そのため、定員割れに陥った私立大学がすぐダメか、と言えばそんなことはありません。2000年代になってから、経営難による廃校・募集停止は16校。一方、新設は約150校増加しています。

記事では18歳人口の減少を挙げていますがこの影響が大きいのは短大・専門学校です。記事中の調査でも私立短大は定員割れが83.6%となっています。
大学は少子化などの影響がある一方、進学率の上昇もあり短大ほどひどい状況にはなっていません。

Yahooニュースコメント 大学ジャーナリスト 石渡嶺司氏

千葉商科大学国際教養学部准教授/社会格闘家

千葉商科大学国際教養学部准教授/社会格闘家 常見陽平氏によると、18歳人口が減ることに抗えず、18歳主義にとらわれず、学生を開拓すること、日本の大学の魅力を上げていくことに、本気で取り組むべきだとのことです。

18歳人口の減少は残念ながら、新型コロナウイルスショックとは関係なく、抗いようがありませんし、わかっていたことでした。今後も減少は続きます。コロナの影響を大きく受けたのは、記事にもある通り、留学生の減少です。さらに、高校での進路指導も新型コロナウイルスショックの影響を受けたなと感じます。この記事ではほぼ言及がありませんが、規模、地域、学部によってもダメージは異なります。

政府の「骨太の方針」のヒューマンニューディールでも、リカレント教育などがうたわれています。18歳主義にとらわれずに、学生を開拓していくこと、学ぶだけの場ではない価値を提供することなどが今後も求められますが、これまた、ずっと言われ続けていることで、そろそろ本気で打開しなくてはなりません。

一方で、楽観視するわけではないですが、コロナ後の留学生獲得も課題です。日本の大学の魅力をあげなくてはなりません。

Yahooニュースコメント 千葉商科大学国際教養学部准教授/社会格闘家 常見陽平氏

国民のコメント

国民の声で、話題になっているものを紹介します。

大学を10代後半から20代前半だけに使うのはもったいない。

18歳人口の減少はわかっていることなので、大学の門戸を若者だけにとどめず、リカレント教育など社会人やシニアの学びに生かすべきという内容のものがありました。

馬鹿みたいに補助金をばら撒いてFラン大学ばかり増えている。専門学校のような学力レベルの大学が増えすぎなんだよね。
大学出の母親が増えて女子の進学率も上がってるけど受験生が減り留学生の獲得もコロナで難しくなってる。
勉強はいつでもできるものなのだから第二新卒を受け入れる企業のような大学があっても良いだろうし、定年後のシニアをもっと受け入れても良いだろう。大学を10代後半から20代前半だけに使うのはもったいない。

Yahooニュースコメントより

子育てが一段落すると、もう一度学び直したくなる。例えば資格取得とか。
学生の時はまったく興味なかった分野を、勉強してみたくなったり。
ただ子供の学費にお金がかかるので、自分の学びにはなかなか費やせない。
公開講座とか、社会人入試とか、大学も一般に広く開放してくれるようになったが、もっともっと分野や入試、学費のパターンが広がればいいと思う。

Yahooニュースコメントより

大学の価値が低くなることへの懸念

「大学全入時代」などの言葉もあります。大学の数と入学希望者とのバランスが変化することで、大学の価値が低くなつことへの懸念の声が多数ありました。

受験生はこれからも減って行くのに大学の数が増えているんじゃ厳しいですよね。全入の時代になるんでしょうか。大学の価値が大幅に低くなりますね。

Yahooニュースコメントより

勉強もしない大学は必要ない!!
だいだい、大学が多すぎる!適切な大学教育がなされているかも疑問だ!
退学者が多い大学は教育レベルの内容を検証する必要がある!
昔のように大学出では世間一般は誰も評価しない時代がきた!もっと大学の教育レベルや教育能力・教員レベルを適格に評価できる基準が必要だ!!

Yahooニュースコメントより

税金を私学助成金に充てる意義への疑問

学費で成り立つ私学の経営難の懸念が増えるなか、国は一定の要件を満たす私学に対し、私学助成金を支給しています。税金の使い途としてどうかという意見があります。

中国や東南アジアからの、出稼ぎ目的の留学生の助成金で生きながらえてるような大学は不要。
そんな金使うなら、IT技術者不足なんだから養成大学への助成金にすべき。
国際貢献にもならないような留学生を支援するより、非正規雇用の若年層を再チャレンジさせるべく、そんな大学でIT技術を学ばせる返済不要の奨学金に回すべき。

Yahooニュースコメントより

必要のない大学や行く必要のない学生が多過ぎるのです。レベルの低い大学は潰して、残った大学の助成金を増やせば良い。

Yahooニュースコメントより

時間がかかる倒産を待つのではなく、文科省が積極的に統廃合を進めてほしい。
節約できた私学助成金は、スカラーシップ制度等を設けて、本当に必要な人材育成のために使ってほしい。

Yahooニュースコメントより

まとめ

日本私立学校振興・共済事業団の調査は、定員割れを起こす大学があることについて、
①18歳人口の減少幅が大きくなる節目の年だった
②新型コロナウイルスの影響で留学生が減った―など複数の要因が重なった

ことを要因としているとしています。

さらに、「18歳人口の減少がますます進むことで、を中心に地元企業や高校生から評価される大学でないと、学生の確保は苦慮することが考えられる」と話し、私大の経営は厳しさが増し、再編が加速する可能性があります。