米倉涼子ドクターX、秀逸セリフ選。「秋には選挙だってあるの」「うるさいわね」

今シリーズの米倉涼子主演『ドクターX』は、コロナ禍を踏まえたリアルな設定。パンデミックに巻き込まれきた視聴者たる一般人がコロナ禍に思ったことが、登場人物のセリフに秀逸に盛り込まれています。今回は、そのなかから、政治家と医者との関係を物語るセリフに注目します。

政治家一橋由華のパーティ会場

マスクなし立食パーティが、バブル方式??

海外から帰国した米倉涼子さん演じる大門未知子。岸辺一徳さん演じる名医紹介所・神原晶さんに連れられ、富永愛さん演じる政治家・一橋由華のパーティに参加します。

この場面を見たほとんどの視聴者はこう思ったはずです。

え?コロナ中に
マスクもせず立食パーティ??

そのように視聴者が感じた違和感を、米倉涼子さんのセリフがこう伝えています。

それにしても浮かれたパーティだよね
感染対策大丈夫なのかしら?

大門未知子と神原晶は、このパーティにノーマスクで参加しながらも、感染対策が大丈夫なのかを心配するような会話をします。
心配しながらも、なんだかんだで、主催者の指示に従ってしまうところも、日本人の感覚を反映していて面白いなと思います。

といっても、政治家・一橋由華にとっては聞き捨てならない声。
速攻、大門未知子たちの方へ近づいき、こう言い放ちます。

米倉涼子ドクターX、秀逸セリフ選。政治家と医者の微妙な関係を抉る

ご心配なく。PCR検査をパスされたお客様をバブル方式でおもてなししていますので

バブル方式

東京五輪の際にさかんに言われていた感染対策方式で、選手や関係者の移動・滞在を一定の空間に限定し、外部との接触を極力避ける感染対策のことです。
大きな泡(バブル)で包むように内部と外部を遮断することから「バブル」と呼ばれます。
当時は、選手や関係者は、滞在するのは宿泊施設・練習場・競技場のみに制限し、行き来するためのバスなどは一般市民とは分けることで、外部の人との接触を避けようということでした。

政治家一橋由華 のパーティはバブル方式と言えるのでしょうか?

一方で、この場面から、「ワクチンパスポート」や「ワクチン・検査パッケージ」のことを、思い浮かべた視聴者も多いはずです。
ツイッターでも「ワクチン・検査パッケージ?」とか「実証実験の認知度拡大?」などの意見もチラホラ見られました。

ドクターXでは、視聴者に対して、ワクチン・検査パッケージの実証実験の近い未来として、この場面を使って課題を投げかけてきているのかもしれません。

モデルは、日本医師会の中川会長の国会議員政治資金パーティ出席

コロナ感染中でも、政治家のパーティは開かれているという設定といえば、国民の記憶に新しい事実があります。

2021年4月20日。東京都内は「まん延防止等重点措置」が適用されていた時期、日本医師会・中川会長が、みずからが後援会長を務める国会議員の政治資金パーティーに出席していました。

中川会長は、変異ウイルス感染が全国的に拡大している状況に対して、全国を対象に緊急事態宣言を出すことも検討すべきだという記者会見を開くなど、医師を代表する発言をする立場の人。

政治資金パーティに出席していたことに対しては
「感染防止対策を徹底していたが、多くの人ががまんを続けている中、慎重に判断すべきだった。多くの批判をいただいており、ご心配をおかけし申し訳ない」と陳謝していました。

医師が政治家のパーティに出席すること、さらに、感染下においてもこのようなケースはけっこうあると言う現実を、富永愛さん演じる一橋由華という政治家のパーティで改めて認識することになりました。

上級国民には優遇?病院は政治家をお預かりするところなのか?

米倉涼子ドクターX、秀逸セリフ選。政治家と医者の微妙な関係を抉る

上級国民の緊急入院には全力で対応する病院

一橋由華議員が、自身のパーティ会場で体調急変するというのは、ドラマならではの演出というところはさておき・・・

コロナ感染者が、入院先がなく救急車内で数時間以上待機せざるを得ない、とか、病状の急変や家族への感染を恐れながら仕方なく自宅療養を続けている、というニュースを連日聞いていました。

女優の綾瀬はるかさんが、コロナに感染し入院したというニュースに対し、一部の人から

『上級国民』は優先的に入院できるのか?

といった声が上がり、Twitterで『上級国民』がトレンド入りする事態となりました。

『上級国民』

社会的地位の高い人間を指すネットスラングで、綾瀬はるかさんのほか、池袋暴走事故で有罪判決を受けた旧通産省工業技術院の元院長・飯塚幸三氏が、『上級国民』として優遇されているのではないか?という国民の違和感がありました。

言ってしまった…一般の患者とは違うんです

救急車運ばれた政治家・一橋由華。
フツーの急患として運ばれていた様子をたまたま目にした野村萬斎さん演じる内科部長兼院長代理・蜂須賀竜太郎が、止めに入ります。

無礼者。このお方は一般の患者とは違うんです。
一橋先生、別室ですぐに検査します。

政治家など有名人を優遇することによって、
・その後の自分の処遇が上がるに違いない
・病院の名声に恥じぬ当然のこと
・政治家を敵に回すと面倒だ
など、さまざまな理由はあると考えられますが、医療現場ではこういうことが日常的なのでしょう。

一般の企業でも、影響力のある人にゴマすりするのは常識です。
医者といえども、そういう側面があることは理解できますが、命の選別につながりかねない…と思うと、素直に同意できないというのが、視聴者の正直な感想でしょう。

ドクターXの場合、そういうシチューションが出てくると、「今回も、このパターンも健在」と妙に安心してしまいますね。

政治家だけど、何か反論ありますか。

政治家・一橋由華の開催したパーティでクラスターが発生しました。
PCR検査で陰性と証明されても、その後数日間の待機期間を保健所などから指示されます。

大門未知子は、きわめて常識的なことを言います。

あんたのパーティでクラスターが発生したの、しばらく隔離します。

これに対し、一橋由華はこう言います。

隔離?あたし、忙しいの。秋には選挙だってあるの。
あんたじゃ話になんない。

蜂須賀先生呼んでちょうだい。

政治家にはさまざまな特権や優遇があります。
不逮捕特権、年間1200万円の文書通信交通滞在費、都内一等地での宿舎、全線無料のJRパスなどがありますが、感染症対策のための隔離を拒む権利はありません(笑)

そんなことは百も承知ではあるものの、「秋には選挙がある」とか「(私の重要性をきちっとわかっている)蜂須賀先生を呼べ」などというところが、いかにも政治家の発言ぽくてリアルですね。

うるさいわね。
あんたの感染対策、失敗したんだよ。

米倉涼子さんが、最後にスカッと言ってくれます。
視聴者としては、米倉涼子さんが絶対言ってくれるだろうと期待しているコメントを、めちゃくちゃかっこよく言ってくれる、ここにドクターXの魅力を感じているのでしょう。

やっぱ、政治家ってお金ある~!

米倉涼子ドクターX、秀逸セリフ選。政治家と医者の微妙な関係を抉る

メロンです、請求書です。

大門未知子の外科手術の後、メロンと法外な金額の請求書を持って、名医紹介所・神原晶が病院を訪れます。このシーンもファンにとっておなじみで、「いつものあれね」とパターンアレンジを楽しみにしているシーンの一つです。

メロンです。
請求書です。

こういうご時世ですので、リーズナブルになっております。
手術代はぐーっとお安くなっておりますが、

単独執刀手当、感染対策手当、危険手当、救急応需手当 他として ¥10,000,000,000

外科手術の費用相場を調べてみました。
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院の「入院した際の医療費の概算例」ページで一番高いものは次のとおりです。

診療科DPC名称平均在院日数日本の健康保険なし
血液内科
Hematology
急性白血病 化学療法
Acute leukemia/Chemotherapy
36.1日¥ 6,200,000

詳しいところは、専門家に聞いていないとわかりませんが、神原名医紹介所がかなりぼったくりだということは間違いなさそうですね。

といっても、今回は、ラッサウイルス感染患者の手術。
東帝大学病院の外科医師たちが一目散で逃げ去ったリスク特大の手術でした。
金額の多寡の問題では片づけられないところです。

出すべきところにお金をばしっと使うのが政治家!?

1,000万円の請求書を受けられない蛭間分院長。
西田敏行さんの代わりに登場したのが政治家・一橋由華。富永愛さんの登場は、まるでパリコレを彷彿させるかのような颯爽としたウォーキング!

私が払います。
政治家の私と主治医の命を救っていただいたんですから。

政治家は、義理堅いです。
ここまで色々言ってきましたが、かっこいいシーンです。

米倉涼子さんの身長は168センチ、富永愛さんは179センチ。
二人が並ぶと、ワールドクラス感が半端なく、ドクターXの豪華さが改めてわかりますね。